2011/11/07 月曜日
『Steve Jobs』 22万語
踏ん張って読みました。
◆Steve Jobs氏の養父、あんなに育てにくい性格の
息子をよく頑張って育てましたね。敬服します。
実の親でも、子どもがちょっと問題を起こすと育児を
放棄してしまう人、少なくないですよね。家に置いて
食べさせてはいるけど、まったく放任とか、お金持ち
なら海外留学と称して国外追放とか..
我が子ではなく、血の繋がらない養子ですよ。よくぞ
途中で放り出さなかったと..それとも、養子だから
こそできたのか?
実の親子でも相性の悪い組み合わせってあります。
性格が似ているからこそ、お互いの反発も激しかっ
たり、とかね。Jobs氏の実父が彼と同じような性格
だったりしたら、どういうことになるかを想像すると、
養子に出されて幸運だったといえるのかも知れない。
日本人だと、家が途絶えるとか、子どものいない人生
が寂しい、とか老後が心配、とか、親の都合で養子を
迎える場合が多いですが、子どもを育てることが人間
の義務だと固く信じて、子どもを持てないなら養子を
迎えよう、と考える人がいます。
そういう人達は、子どもをまっとうな道を歩ませようと
努力を惜しみませんね。Jobs氏の養父もそういう人
だったのかもしれません。
◆Jobs氏の実の両親は、養子に出す条件として必ず
大学に進学させる、と誓約させているのですね。
それで、Steveは費用の安いコミカレや州立大学では
なく、私立大学に行きたいと言い張るので、養父母は
希望通りに進学させます。
アメリカの私立大学の年間授業料はワーキングクラス
の年収なんか軽く上回ります。それで履修した科目が
ダンスとか習字とかね...どういうつもりだったのか、
まったく困った我が儘ぶりです。
結局、親を無一文にしてまで学ぶ科目はない、と1年で
やめてしまうのですが。
◆養子に出すときに注文を付ける、っていうのも日本人
の感覚からは腑に落ちないですね。そんなに心配なら
進学資金も出したら良いじゃないですか。
実父はシリアの名家の出で政治学博士コースに学び、
実母も不動産業などを営む実業家の娘で、大学院で
彼の生徒になって知り合ったというのですから、高校
中退の養父母よりずっと裕福な家庭の出でしょう...
でも、ずっと後になって、Steveは実親を捜し当てるの
ですが、実父はレストランで働いていたりして、実母も
そんなに裕福そうではありません。ドラ息子とドラ娘で
中年になる頃には落ちぶれていたのかなぁ?
養母はどんな人だったのか、あまり書かれていません。
養父母は、Steveのあとに女の子も養子にとり、1男1女
の典型的な家庭を営んだのですが、義理の妹とはあまり
そりが合わなかったと簡単に書かれているだけ。私と
しては養母がどんなだったか?とても興味があるんです
けどね。
実母を捜し当てても、実際に会うのは養母の死後という
のがホロリとさせられます。そういう風に気をつかったと
いうことは、養母に不満があって語らなかった、という
わけでもなさそうです。あるいは養父が生きているから
語らなかったのか? わかりません。
◆買ってはみたものの、数ページで投げた方へ~
この本のIntroduction ねぇ、なんだか違和感があるの。
「読めるか?」って心配しながら配信を待っていたから、
読みやすい文体で、「これならいける!」って感触は
嬉しかったんだけど、あんまり引き込まれるものがなくて
「こんなの全部読むのかよー」って少し鬱になりました。
CNNの1月号これでいく、って約束しちゃってたから。
でも、第1章になったら俄然、生き生きとした文章になり
ストーリーに引っ張られてずんずん読めるんです。
35ページまで届かず、「始まらないうちに投げちゃったよ」
の方は、気を取り直して手にとって欲しいです。
ところが最後まで読んで、またこのIntroduction に戻ると、
やっぱり他とはノリが違う気がする。
本来なら来年3月刊行予定だったのを、Jobs氏の逝去
を受けて半年前倒しにしましたから、この部分は大慌て
で書き加えたはずですし、Jobs氏が亡くなったことに
ショックを受けていたはずですから、そのせいかな?と
受け止めることもできるでしょう。
疑り深いぶたさんは、そこで著者が気が進まないまま
書いたんじゃないかな?とか疑うんですよ。
He didn't seek any control over what I wrote, or even
ask to read it in advance. なんて「ほんとかよ」って..
あのプレゼンの鬼がね...後半も終わりの方のiPadを
出すときのくだりなんて、技術者でも経営者でもなくて、
「あんた電通マン?」という思考に走ってる人が?
あの、今後何十年も引用されることを意識したとしか思え
ないCEO辞任の挨拶を書いた人が?
著者はいざ知らず(うすうすは感じていたでしょうけど)、
本人は死期を予感して、だからこそ依頼した自伝です
からね、口を出さなかったなんてあり得るのかな?
もっともプライベートなことは、自分が語らなければ、
書かれる心配もないわけですから、著者に任せること
もできたかも知れませんが...
◆アメリカ人て、どうしてこんなに「栄養」と「健康」に
関して無知な人がいるんでしょうね?
日本人なら、「取引先との会食の席で自分だけ違う
もの食べるのも..」と協調性を優先させたり、ある
いは目の前で他人が食べていると誘惑に負ける、
とかであんまり極端な食生活に走る人は少ないです
けど、西欧人はやるとなったらとんでもなく意思が固
くて、死んでもやり抜く人がいますね。
ほどほどに意思が弱くて、誘惑に負けることもある方が
健康には良いかも。
◆Steveはどうして現代医療が嫌いなの?
私にとって、SteveといったらMcQueenなんですね。
アスベスト性の中皮腫の手術を受けず、メキシコの
サナトリウムで過ごしたんですが、彼が死を迎えた、
コンクリートむき出しの部屋の板のベッドと木枕の
写真が後日公開されました。
ただでさえ痛みが激しい末期ガンを、どうやってあの
固いベッドの上で耐えられたのだろう?
ネットで探してもその写真は見つかりませんが、今でも
脳裏に鮮明に残っていて、いつでもそれを思い出せば
涙が流れます。
1980年の今日、50歳で亡くなったのでした。
Jobs氏も、ガン発見後の9ヶ月を代替療法に頼った
ことが死期を早めたという説もあります。Jobs氏にも
熱烈なファンがいますから、その人達も涙しているの
でしょうね。
◆この本を読んで欲しくない人
洋書のことは知りませんが、翻訳版は上下で4,000円
もするのに35万部も売り上げたそうで、今年のベスト
セラー間違いなしだそう。
日頃、口出すだけでなんもできない、イタイ部長がこの
本読んでジョブズ気取りになり、ジコチューフルスロットル
になったりしたら、若い部下がお気の毒だわね。
真似すべきでない人に限って真似するものなのよ。
◆翻訳者さん、お疲れさま
著者Walter Isaacsonの前作はアインシュタインの伝記
でしたが、これは翻訳が間に合わず一部機械翻訳の
まま出版になり、回収する騒ぎになったのでした。
プロの翻訳者が間に合わない、ってよほど原文が難
しいのか?って、それで『Steve Jobs』を予約したとき、
「読めなかったらどうしよう?」って怖かったのでした。
ミステリーなんかだと、ハーバードとかアイビーリーグ
出の高学歴の人が書いたものは難しいですもん。
スコット・トゥローとかリチャード・プライスとか...
あんまり学歴の高い人が書いた本、読んだことないの
かも..って思い起こすと、まあサンデル教授のJustice
やティナ・シーリグのWhat I Wish I knew When I was 20
くらいかな。
やさしかったとはいわないけど、分からなくて辛いとか
焦るとかなくて、普通に読んだなぁ..
ノンフィクションは、学歴の高い人でも分かりやすく
書いてくれるのかも。あんまりびくびくしなくていいかも..
っていう気持ちになってきた。
Kindle版はこちらSteve Jobs




